小人と7人の姫君(仮)1
「 小人,遭遇 1 」
小人が世界を支配したらしい。
と言っても、由姫には実感が無かった。
この国のトップが青い顔で「小人特別法」を発表して1週間。
特に変化も影響も見られない。
高校がお休みになったのだって、たったの1日。
マスコミが、この世の終わりみたいに騒いでいたのは3日。
もっとパニックになるかと、心の底では期待していたのに肩透かしをくらったみたい。
そりゃ、世界が崩壊すればいいとは思ってないけど、もうちょっとアクションがあってもいいんじゃないかなぁ。
たとえば、今後の試験が延期になるとか?
由姫はため息をつきながら、鞄から家の鍵を取り出した。
それにしても、今日の数学は手強かった。
ムリ。ほんっと、ムリ。
試験勉強に加えて、次の授業までの課題の多さを考えると、憂鬱になってくる。
いっそ、小人が数学禁止法とか出してくれればいいのに。
それがムリなら、小人の祝日にするとか?
1日とは言わず、むしろ1ヶ月くらい。
大体、支配するって宣言を出したわりには、小人達はおとなしい。
これから人間は、小人の支配化に入るって声明が出されたくらいで、由姫達に特別な制限は無い。
むしろ、二酸化炭素削減と緑化運動に力を入れる方針を打ち出したくらいだ。
なんて地球に優しい小人なのかしら。
そうよね!
そんな小人さまには歓迎会が必要だと思うの。
国をあげて1ヶ月くらいパレードでも何でもすればいいんだわ!
もちろん、その間は学校はお休みで。
と、半ば本気で妄想していた由姫だが、玄関を入ったところでピタリと足が止まった。
妙な雰囲気がする。
それが何かと言われると説明できないんだが…
由姫は、スっと視線を走らせてみた。
リビングに通じる廊下。
その先に少し開いたドア。
ちょっとだけ見えるソファ。
そして…見慣れない影。
なんか、いる!
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