ネコノベル20 

 
                 ある初冬の晴れた日



皆様ごきげんよう
 

わたくしはチロル。誇り高きノラ猫。
 

今日もお昼過ぎまで挨拶が無いにゃんて、わたくしの下僕は何を考えているのかしら。
 

再教育が必要にゃようね。
 

それはいいとして、早く食事の用意をにゃさい?
 

あら、もう用意しているの?
 

いい心掛けね。褒めてあげるわ。
 

あら?
 

お出かけにゃさるの?
 

もちろん、わたくしの為に何かいい物を買って来る気にゃんでしょ?
 

でしたら、不承不承だけど、お見送りをして差し上げるわ。
 

それより、ピノお姉さまはいらっしゃらにゃいのね。
 

飼い猫として、マナーがにゃってませんわねぇ。
 

たとえ自分より格下の下僕と言えども、飼い猫にゃらば、その辺は心得ておかにゃいと。
 

いいですわ。
 

ピノお姉さまの代わりに、わたくしが全身全霊でお見送りをして差し上げますわ。
 

まず、下僕の足にすがって、ちょっと悲しそうに鳴くのがポイントでしてよ?
 

そうすれば、健気なわたくしの姿に心打たれた下僕は、ピノお姉さまよりわたくしを大事に思うはず。
 

そうなれば見ていらして。
 

わたくしが、ピノお姉さまの居場所に取って代わる日も近くてよ?




 

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