ネコノベル10

                   
                 ある真夏の晴れた日

アタシはニャンコ。
 

名前はピノ
 

今日は朝からご主人たまの様子がおかしかった。
 

いつもはお家の中に入ると怒るのに、ご主人たまの匂いのする椅子に座っても、にゃぁんにも言わないの。
 

それどころか、優しく撫でてくれたりもする。
 

…おかしい、にゃにかある。
 

そう思ったら、予感的中。
 

アタシはムリヤリ箱に入れられ、車でどこかに連れて行かれた。
 

にゃぁに?にゃぁに?どこ行くの?
 

前のご主人たまのお家から捨てられた時も、車に乗せられたアタシは慌てた。
 

まさか、また捨てられちゃうのかにゃぁ。
 

夜中に鳴いたのが悪かったのかにゃぁ。
 

もう鳴かにゃいから、おとにゃしくするから帰ろうよぅ。
 

アタシは必死で頼んだけど、ダメだった。
 

変な匂いのする建物に運ばれて、知らないニンゲンに体を押さえつけられた。
 

アタシ、しぬのかにゃぁ?
 

いやだにゃぁいやだにゃぁ、ご主人たまぁ。
 

 
 
 
…目が覚めたら、お家に帰ってた。
 

良かった、捨てられたんじゃにゃかったんだ。
 

でも、おにゃか痛いし、頭フラフラするよ?
 

ご主人たまは、避妊手術成功したって喜んでたけど、アタシは喜べないにゃぁ。
 

痛いにゃぁ痛いにゃぁ。
 

にゃんでこんにゃことするの?
 

 
 
 
それから1週間後、舌平目とささみのトロトロごはんが出てきた。
 

「抜糸祝いやね☆」
 

ご主人たまは、そう言ってた。
 

そうかぁ。
 

おにゃかの糸が取れたら、美味しいものが出るんだにゃぁ。
 

手術も悪いもんじゃにゃいんだね、ご主人たま。
 
 

 
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