ネコノベル7
ある春の晴れた日
アタシはニャンコ。
名前はピノ。
アタシはいいことに気が付いた。
ねずみを獲って来ると、みんなが優しくしてくれるの。
ごはんをくれるニンゲンも、「親父」も「おかん」も、みぃんな褒めてくれる。
ねずみ狩りなんて、ニャンコのたしなみにゃのにね。
だから毎日毎日、ニンゲンの家に届けに行ったの。
そしたらね、いつもは石を投げてくる「親父」がね、さんま缶をくれたんだよ。
すごいねぇ、ねずみが起こした奇跡だねぇ。
「親父」はアタシの前にさんま缶を置いて、ニンゲンに声をかけた。
「お〜い、オマエのネコがねずみ獲って来たぞ。」
うわぁ、今、なんて言ったの?
ついに「親父」もアタシの魅力に気付いたの?
あのニンゲンをご主人たまって呼んでいいのかにゃ?
「ついに儂のネコって認めたんや、親父。」
ご主人たまが、銀のスプゥンを持って現れた!
うわぁ、嬉しいなぁ。
でも、おにゃかいっぱいだから、それいらにゃぁい。
ご主人たまは、さんま缶を憎々しげに見つめていた。