ネコノベル 5

 
                           ある冬の晴れた夜

アタシはニャンコ。
 

名前はピノ
 

アタシにゴハンをくれるニンゲンの行動パターンが、だいたい分かってきた。
 

お日様が落ちる頃に帰ってきて、そのままお家へ消えていく。
 

だから、アタシは待ってたよ〜って言いにいくの。
 

待ってたにゃぁ。
 

ゴハンちょうだい。
 

ゴハンゴハンゴハンゴハンゴ〜ハ〜ン〜!
 

結構がんばって催促したら、苦笑しにゃがらそのニンゲンが出てきた。
 

「お前…うるさいなぁ。」
 

そう言いにゃがら、そのニンゲンは自分のお家からちょっと離れた広場までアタシを連れて行く。
 

うわぁ、それは「銀のスプゥン」ですね!
 

2袋650グラム小魚入りですね!
 

早くちょうだぁい。
 

「はいはい、どうぞお食べください。」
 

ニンゲンは、アタシにゴハンをくれると、さっさと走り去った。
 

ちょっと寂しいけど、ゴハンの方が大事だもん。

 
アタシはゴハンをすっごい勢いで頬張った。
 

お腹がいっぱいににゃったから、またあのニンゲンのお家の側まで近寄ってみる。
 

ん〜?

 
もうあのニンゲンの気配がしにゃいにゃぁ。
 

どこ入ったのかにゃぁ。

 
あ!あっちに居る気がするよ?
 

灯りが点いている窓の下で、アタシはちっちゃく鳴いてみた。
 

そこ?そこに居るの?何してるの?何してるの?ザバザバ言ってるこの音はにゃぁに?
 

「…なんで儂の居場所が分かんねん。」
 

窓が開いて、ポカン顔したニンゲンがアタシの顔を見つめてきた。
 

分かるよぅ。息とかね、心臓の音とかね、あと、シックスセンス的な何かで分かるよぅ。
 

嬉しくにゃって、アタシが窓のサッシに飛び乗ったら、ニンゲンが「うわぁ!」って変な声をあげてた。
 

でもアタシも下を向いたら、大量のお湯がゆらゆら揺れててビックリして、またお外へ飛び降りた。
 

あれがお風呂っていうものか…
 



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