ネコノベル 4

 
                           ある冬の晴れた日

アタシはニャンコ。
 

名前はピノ
 

今日もターゲットのお家に忍び込み、ゴハンをいただく予定。
 

こっそりお庭から様子を窺ってたら、タイミング悪くニンゲンがお家から出て来た。

 
ヤバい!見つかったにゃ!目が合ったにゃ!
 

アタシがさっさと逃げ出そうとすると、そのニンゲンはまたお家の中へ入っていった。

 
きっと鈍器のような物を持って追いかけて来る気だにゃ。

 
命の危険を感じるにゃ!
 

アタシはお隣のお庭へ逃げ込んだ。
 

ここは木がいっぱいあるから、ニンゲン達に見つかりにくいの。
 

ガチャっと扉の開く音がして、ニンゲンの足音がこっちに近づいてくる。


アタシはなるべく体を小さくして、息を潜めた。

 
「ニャンコ〜!ニャンコ〜!あれ?もうおらへんなぁ。」

 
ニンゲンがアタシを呼んでいる。
 

だ、騙されにゃいにゃ!

 
出て行った途端、バールのような物で殴られるに決まってるにゃ。
 

アタシは更に小さくなった。
 

「あ!おった!」
 

でも見つかったみたい。

 
もうダメにゃ。
 

ヤられるにゃ。
 

ニンゲンを睨みながら後ずさる。
 

そしたら、そのニンゲンは軽くため息をついてこう言った。

 
「あんな、お前の食べてるのな、ドッグフードやねん。お前、ネコやし、腹壊したら困るでしょ?んでな、あのエサはウチのワンコのやねんな。ワンコな、年取ってデリケートになってるから、あんまりあの部屋には近付かんでほしい。分かった?」
 

そして、何かを置いてお家に帰って行った。

 
お魚のにおい。
 

ちょっと考えて、アタシはそれを食べてみた。
 

美味しかった。
 

あのニンゲンに付いて行ったらゴハンくれるのかにゃぁ。
 

今日はちょっとだけ安心して、アタシは毛づくろいを始めた。
 
 

 

 
 
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